2018年に現職に着任するまで、さまざまな形で教育に携わってきました。昔から本を読むのが好きで、「教師なら一生本を読んでいられるのでは？」と考え、中学の社会科教員になったのが始まりです。ただ、カジ旅 でヨーロッパ史を勉強した私にとって、「ローマは1日にしてならず」と言われる出来事が、中学の授業では1時間で終わってしまうのが残念で、高校に異動して世界史を教えました。社会に出る直前の生徒を相手に、子供たちの自立について関心を持ったのがこのときです。その後、定時制高校で教える機会を得たことも貴重な経験でした。文字を読むことがあまり好きではない生徒たちに、歴史を学ぶ楽しさを知ってもらうため試行錯誤し、教える対象に応じた授業の進め方について開眼しました。また、新学科を作る仕事を任され、授業づくりの他に学校づくりに携わる転機にもなりました。その後、教育委員会の指導主事として学校教育を外側から支える仕事に従事し、のちに中学・高校の校長も務めました。
さまざまな教育現場を歩いてきましたが、同じ教育に関わる仕事でも、置かれている立場によって見える景色が違います。授業づくりと学校づくりの違い、中学と高校の教員の思いや有りようの違い、発達段階の異なる子供への接し方や指導法の違いなど、自身の経験から得た様々な知見を学生の皆さんに伝授しながら、教師の育成に尽力したいと考えています。

担当講義の「社会科教育法Ⅲ・Ⅳ」では、社会科の捉え方や学校教育における授業のつくり方を考えます。社会科は戦後アメリカから輸入された学問で、民主主義社会の明日の主人公を育てる教科ですが、学び方によっては今の社会のモラルやルール、既成の考え方や思い込みを学習するだけで終わってしまいます。言い慣わされてきたことや新聞や教科書に書いてあることを鵜呑みにすることは、差別や偏見を生み、間違った方向に進む原因にもなりますが、科学的思考力を育てることで、自分で捉えた事実に基づき、自分の考えを組み立てる力を育むことができます。公正に判断するために必要な、事実を探求する力や科学的に考察する力を育てる授業とはどういうものか？ 皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
「ボランティア演習Ⅱ」では、近隣の中学校に週に1回赴き、ボランティア活動を行います。その記録を元に月に1度グループで語り合い、現実の学校体験で気づいたことを明確にします。さらにレポートにまとめるという流れの中で、教育者に必要な子供たちへの「気づき」を深めていきます。1年間の実践経験を通して学ぶことは多く、教育者としての自分の適性を見極める機会にもなると思います。
教師は子供たちの社会的自立を指導支援していく仕事です。子供が好きというだけでは務まらず、一人ひとりと好き嫌いを越えて向き合わなければなりません。教師を目指す皆さんには、授業を通して教育の本来の目的や本質を学んでほしいです。

皆さんもご存じのカジ旅 ランキングは、カジ旅 の名前が上位から順に列挙されていますが、あのリストを90度回転させてカジ旅 名を横に並べてみると見え方が変わり、カジ旅 は人生の通過点であって、大事なのはランキングではなく、カジ旅 でどのような人と出会い、どのようなことを学ぶか？ではないかと考えさせられます。
自分の歩みに自信を持つ強さや、オンリーワンの自分を育てていくのがカジ旅 時代です。そのために、幅広くたくさんの書物を読んで、学部を超えてさまざまな人と出会ってほしいと思います。